階段のバリアフリー化-昇り降りに適した階段の寸法や設計

階段のバリアフリー化-昇り降りに適した階段の寸法や設計

ご高齢の方や体の不自由な方にとって、日常生活で最も難しい場面のひとつが階段の昇り降りです。特に日本の住宅は2階建てが主流であり、階段は避けて通れない存在です。そこで、バリアフリー住宅の構築やリフォームでは、階段のバリアフリー化がますます重要となっています。この記事では、階段のバリアフリー化に関する重要なポイントと方法について解説します。

階段のバリアフリーの寸法や設計

バリアフリー住宅の階段は、安全かつ利便性を考慮して設計する必要があります。法定寸法に基づく基本的な寸法に加えて、バリアフリー化に適した寸法も考慮する必要があります。

法定寸法とは?

住宅の階段の寸法には、建築基準法で定められた法定寸法があります。これは、階段の種別によって階段及び踊り場の幅や蹴上げ、踏面などが規定されています。ただし、法定寸法は最低基準であり、バリアフリー化の観点からさらに配慮が必要です。

階段の種別階段及び踊り場の幅蹴上げの寸法踏面の寸法
住宅75cm以上23cm以下15cm以上
参考: 建築基準法施行令 第二章 三節 第二十三条

バリアフリー化に適した寸法とは?

階段のバリアフリー化においては、昇り降りしやすさを考慮した寸法が重要です。特に、蹴上げと踏み面の寸法を適切に設定することが重要です。一般的な目安としては、「蹴上×2+踏面=60cm」が挙げられます。これは、日本人の標準的な歩幅に合わせた寸法であり、昇り降りがしやすくなります。

項目寸法目安
勾配25~35度25~35度
蹴上げ15~18cm15~18cm
踏み面25~32cm25~32cm

階段のバリアフリー化の方法

階段のバリアフリー化には、さまざまな方法があります。以下に代表的な方法を紹介します。

方法特徴
勾配を緩める– 階段の勾配を緩やかにし、昇り降りを容易にする。
– 負担を軽減し、安定した歩行をサポートする。
手すりの設置– 両側に手すりを設置し、安全性を高める。
– 適切な形状と滑り止め加工で安心して利用できる。
階段昇降機の設置– 自力での昇り降りが難しい方に利用可能。
– 座ったまま利用でき、日常生活の負担を軽減する。
ホームエレベーターの設置– 上下階の移動が容易になる。
– 大規模な工事が必要だが、高齢者や車椅子の方に大きなメリットがある。
足元照明の追加– 薄暗い階段の安全性を高める。
– 人感センサー付きで省エネと安全性を両立する。
滑り止め加工の施工– 踏み面に滑り止め加工を施し、滑りやすさを軽減する。
– 安心して昇り降りできる環境を提供する。

1. 勾配を緩める

階段の勾配を緩やかにすることで、昇り降りしやすくなります。勾配を緩めることで、体への負担が軽減されます。また、蹴上げや踏み面の寸法も調整し、安定した歩行をサポートします。

2. 手すりの設置

階段の両側に手すりを設置することで、安全性を高めます。一直線型やL字型など、適切な形状の手すりを選び、昇り降りの支援を行います。さらに、滑り止め加工を施した手すりを選ぶことで、安心して利用できます。

3. 階段昇降機の設置

階段昇降機を設置することで、自力での昇り降りが難しい方でも安全に移動できるようになります。階段昇降機は座ったまま利用できるため、利便性が高く、日常生活の負担を軽減します。

4. ホームエレベーターの設置

ホームエレベーターを設置することで、上下階の移動が容易になります。ホームエレベーターは階段昇降機よりも大規模な工事が必要ですが、高齢者や車椅子の方にとって大きなメリットがあります。

5. 足元照明の追加

階段の足元に照明を追加することで、薄暗い階段の安全性を高めます。特に、夜間や暗い場所での利用時に役立ちます。人感センサーを搭載した照明器具を選ぶことで、省エネと安全性を両立させることができます。

6. 滑り止め加工の施工

踏み面に滑り止め加工を施し、滑りやすさを軽減します。滑り止め加工は段差や踏み面に直接施すことができ、安全性を向上させます。また、足元に不安を感じる方にとって、安心して昇り降りできる環境を提供します。

階段のバリアフリー化は、安全性と利便性を追求するための重要な取り組みです。適切な寸法とリフォーム方法を選択することで、誰もが安心して階段を利用できる環境を作り出すことができます。階段のバリアフリー化には、住宅のバリアフリー化に詳しい専門家の助言を受けながら、慎重に計画することが重要です。