バリアフリー住宅の構築やリフォームにおいて、手すりの設置は重要な要素の一つです。特に、手すりの位置や高さは安全性や利便性に直結するため、慎重に計画する必要があります。この記事では、バリアフリー住宅での手すりの設置に関する重要なポイントを詳しく解説します。
手すりの位置と高さの重要性
バリアフリー住宅では、玄関、廊下、階段、トイレ、浴室など、様々な場所に手すりを設置することが推奨されます。これらの場所では、利用者が安全かつスムーズに移動できるよう、適切な位置と高さに手すりを設置することが重要です。
場所 | 手すりの高さの目安 | 特記事項 |
---|---|---|
玄関 | 75cm | – 土間と床面の段差を乗り越えやすい位置に設置。 – 利用者に合わせて高さを調整する。 |
廊下 | 75cm前後 | – 利用者の身長に合わせて適切な位置に設置。 – 最長85cmの間で調整可能。 |
階段 | 70~80cm | – 一番下から最上段まで、切れ目がないように設置する。 – 手すりが高すぎると後方に倒れる危険があるため、注意が必要。 |
トイレ | 23~30cm | – 便器の座面から横の手すりを持つ位置までの範囲に設置。 – 立ち上がった際に手すりが身体の前方にくるように設置。 |
浴室 | 横の手すり: 10~15cm 縦の手すり: 肩の高さ | – 横の手すりは浴槽の縁から10~15cmの高さに設置。 – 縦の手すりは立ち上がった際に肩の高さか少し高い位置に設置。 |
玄関
玄関の手すりは、土間と床面の段差を乗り越えやすい位置に設置されるべきです。一般的な高さの目安は75cmであり、利用者に合わせて微調整することが必要です。玄関の手すりは、段差に沿って斜めに設置するタイプや、縦型とL型を組み合わせたタイプがおすすめされます。
廊下
廊下の手すりは、移動をサポートする水平型が適しています。高さは玄関と同様に75cm前後が目安であり、利用者の身長に合わせて調整する必要があります。手すりの高さを決める際には、腕を真っ直ぐに降ろした状態で手首の位置に合わせる方法や、杖の高さに合わせて測定する方法があります。
階段
階段に設置する手すりの高さは、階段の踏みつけ面から70~80cmの高さが一般的です。手すりの始まりと終わりを確保し、手すりが高すぎないように注意する必要があります。階段の手すりは、水平部分と斜めの部分を組み合わせている場合は、手すりの始まりと終わり、踊り場で高さの測り方が変わることに留意することも重要です。
トイレ
トイレに設置する手すりは、上下動作をサポートするものであり、L型の手すりがおすすめされます。手すりの高さの目安としては、便器の座面から横の手すりを持つ位置までが23~30cmの範囲になるように設置します。また、便器から縦の手すりまでの距離も重要であり、立ち上がる際に手すりが身体の前方に来るように配置することが安全性を確保するポイントです。
浴室
浴室では、滑りやすい状況を考慮してL型の手すりや水平型の手すりが適しています。手すりの高さは、横の手すりが浴槽の縁から10~15cmの高さに設置し、縦の手すりは立ち上がった際に肩の高さか少し高い位置に配置します。また、手すりの位置を身体の前で力を入れやすい位置に設置することも重要です。
バリアフリー住宅において、手すりの位置と高さは安全性と利便性を確保する上で欠かせない要素です。利用者のニーズや建物の構造に合わせて手すりを適切に設置することで、快適で安全な生活環境を提供することができます。建築やリフォームの際には、手すりの設置を検討し、専門家との相談も大切にすることが重要です。