段差をなくすリフォームは、高齢者や介護が必要な方々の生活の質を向上させるための重要な施策です。特に日本の多くの住宅では、古い設計のために玄関や部屋の間、浴室、トイレなどに段差が残っています。これらの段差は、日常生活の中でつまずきや転倒の原因となり、大きな怪我に繋がるリスクがあります。
小さな段差のリスク
段差をなくすリフォームを考える際、多くの人が玄関の上り框(あがりかまち)などの大きな段差に目を向けがちですが、実際には1〜2cm程度の小さな段差も非常に危険です。これらの小さな段差は認識しにくく、特に視力が低下している高齢者にとっては大きなリスクとなります。つまずいて転倒し、骨折や寝たきりになる可能性が高まるため、見過ごすことはできません。
段差解消リフォームを検討するべき場所として、以下のような場所が挙げられます。
- 風呂の入口
- 部屋と部屋の間(敷居)
- 玄関(アプローチ、玄関ドアの敷居、上り框)
- トイレの入口
風呂の入口の段差をなくすリフォーム方法と費用
リフォーム方法 | 工事内容 | 費用目安 |
---|---|---|
すのこを利用した簡易的な方法 | すのこを設置する | 約5〜10万円 |
すのこを利用した簡易的な方法 | 手すりを設置する | 約1〜2万円 |
システムバスに交換する方法 | 在来浴室→システムバスに交換する | 約70〜130万円 |
古い浴室と脱衣所の間には、水の侵入を防ぐために5〜20cm程度の段差が設けられていることが一般的です。この段差を解消するための方法として、いくつかの選択肢があります。
すのこを利用した簡易的な方法
最も手軽な方法は、洗い場に「すのこ」などを敷いて簡易的にかさ上げする方法です。すのこがずれると危険なので、ぴったり収まるサイズのものをオーダーして敷き詰めるのがおすすめです。また、手すりを併用すると安定感が高まり、安全性がさらに向上します。
システムバスに交換する方法
在来工法の浴室(タイル張りの浴室)を、段差の少ないシステムバスに交換する方法もあります。これにより、脱衣所との間に段差がないフラットな入口が実現します。またぎの低い浴槽や滑りにくい床など、入口の段差解消以外のメリットも多くあります。
部屋(敷居)の段差をなくすリフォーム方法と費用
リフォーム方法 | 工事内容 | 費用目安 |
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小さなスロープを設置する方法 | 段差に小さなスロープを設置する | 1ヶ所あたり約2千円〜 |
床のかさ上げ・かさ下げを行う方法 | 下地を調整して新しいフローリングを張る | 約27〜40万円 |
床のかさ上げ・かさ下げを行う方法 | フローリングを重ね張りする | 約12〜27万円 |
古い和室の床は廊下や洋室よりも高くなっており、入口に段差がついています。和室に上がる際には敷居部分をまたがなければならず、洋室の場合でも入口にわずかな段差がついていることがあります。この数センチの段差は視力が落ちてくると認識しにくく、つまずきの原因になりやすいため注意が必要です。
小さなスロープを設置する方法
最も手軽な方法は、段差部分に小さなスロープを設置して段差を和らげる方法です。
床のかさ上げ・かさ下げを行う方法
床のかさ上げ・かさ下げというリフォーム方法は、既存の畳やフローリングを撤去し、下地を調整してから新しい床材に張り替えるため、やや大掛かりな工事になりますが、段差のないフラットな床が実現します。
玄関の段差をなくすリフォーム方法と費用
リフォーム方法 | 工事内容 | 費用目安 |
---|---|---|
スロープを設置する方法 | スロープを設置する | 約15〜20万円 |
段差解消機を設置する方法 | 段差解消機を設置する | 約20〜30万円 |
踏み台と手すりの設置 | 踏み台と手すりの設置 | 2〜4万円程度 |
玄関ドアの段差を緩和する方法 | 小さなスロープを設置する | 約2〜10万円 |
屋外にスロープを設置する方法 | 屋外にスロープを設置する | 約40〜60万円 |
屋外にスロープを設置する方法 | ウッドデッキを設置する | 約50〜150万円 |
玄関の上り框(あがりかまち)は、室内と土間を分けるために大きな段差があります。これを解消するためには、スロープや段差解消機を設置する方法があります。
スロープを設置する方法
スロープを設置することで、車椅子でも出入りが容易になります。
段差解消機を設置する方法
段差解消機を設置することで、大きな段差をスムーズに乗り越えることができます。
踏み台と手すりの設置
踏み台と手すりを設置することで、上り下りをサポートします。
玄関ドアの下部分には、外からの水や砂の侵入を防ぐために段差が設けられていることがあり、この段差を緩和するために小さなスロープを設置することも有効です。
屋外の段差についても、スロープを設置することで車椅子でも安全に出入りできるようになります。スロープが急すぎると危険なため、段差の高さの約6〜12倍の長さのスロープが理想的です。
トイレの段差をなくすリフォーム方法と費用
リフォーム方法 | 工事内容 | 費用目安 |
---|---|---|
トイレの床をかさ上げする方法 | 下地を調整して新しい床材を張る | 約8〜15万円 |
トイレの床をかさ上げする方法 | 新しいトイレに交換する | +約15〜50万円 |
トイレの床をかさ上げする方法 | 壁紙を張り替える | +約5千〜2.5万円 |
敷居を撤去する方法 | 敷居を撤去して補修する | 約5〜7万円 |
敷居を撤去する方法 | ドアを交換する | +約4〜18万円 |
トイレの床が廊下より一段下がっている場合、これを解消することで車椅子でもスムーズに入れるようになり、歩行者もつまずいて便器に顔をぶつけるリスクを軽減できます。
トイレの床をかさ上げする方法
一度便器を外してから床をかさ上げし、再度床を張って便器を取り付ける工事が必要です。
敷居を撤去する方法
トイレと廊下の床の高さが同じで敷居の段差が気になる場合、敷居を撤去することもできます。ただし敷居を撤去するとドアの下に隙間ができるため、ドアの補修や交換が必要になります。
段差をなくすリフォームは、高齢者や介護が必要な方々の安全で快適な生活を実現するために重要です。段差を解消することで、つまずきや転倒のリスクを減らし、安心して生活できる環境を提供します。家族の健康と安全を守るために、段差をなくすリフォームを検討してみてください。